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営業会社において、活気を出すためには成果主義を適用する必要があります。これがあるからこそ、若い人が力を出せ、会社も大きく伸びていく可能性をもつのです。しかし人の実力を見抜くというのはなかなか難しいもので、あまり優秀じゃないと思われた人間が実力を出したり、また優秀だと思われた人間があまり力がなかったりということもあります。このようなことがあるために、多くの会社では新規に人材を採用した場合ある一定期間で人を評価する仕組みをとります。
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ここで問題が発生します。実力をどの時点で評価するかです。例えば野球選手で3割バッターというとかなりの実力の持ち主です。10回打席にたち、うち3回は、ヒットあるいはホームランなどを打って出塁しているのです。しかし内7回は三振などをして、アウトになって
いるのです。
そのときに成果主義を徹底しているとして、どれくらいの期間で人を評価すればいいのでしょうか。一試合毎ですか?あるいは一打席毎ですか?もちろんそんな短いスパンで評価することはないと思います。一流のバッターの松井やイチローでさえ、3試合連続ノーヒットということだってあります。だから1試合全く打てなかったとしてもそこで選手を代えたとしてら、監督は失敗です。確率を考えるともっと長いスパンで選手を評価しなければなりません。それは一般的な基準で考えれば分かると思います。
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しかし成果主義の営業会社では評価する時期をいつに設定するかで失敗していることがあります。例えば新しく入ってきた社員の実力は長くとも3カ月には見極めが出来るとします。とすると使えないと思われる人材は3カ月で辞めてほしいと思うのが経営者としての考えだと思います。それにより新人に対して3カ月で評価をするという仕組み、3ヵ月後に解雇もありえるという仕組みを作ります。その仕組みを作ったことにより、既存の社員を評価する仕組みも自動的に3カ月となってしまいます。
ここで問題が起こります。例えばその会社でナンバーワンの成績の営業マンがいるとします。その営業マンも仕事の実績のぶれが当然でてきます。2期連続、4位以下の成績をとる可能性もあります。そのときに成果主義であるならば、会社にいづらくなってきます。このあたりが成果主義の弊害です。いくら優秀であっても成績は一定ということはありません。必ずぶれというのが生じてくるのです。それに対してどう対応するのかが、会社の発展につながります。
私の知っている会社でも創業期共にアイデアを出し合い会社を回していく仕組みを作ったメンバー(ナンバー2)が成果主義の弊害にあって辞めてしまったところがあります。ナンバー2でさえこのような状態なので、新人はどんどんやめてしまう状況で、一番古いメンバーでも2年前に入社した人間のみで、仕事をもってこれる人間がいないという状況に陥った会社があります。
考え方を変えて、社長としてすべての仕事に自信と責任をもち、だれもアドバイスをしてくれる人間なんて必要ないというのであれば、短い期間で評価するやり方でも構わないと思います。しかし社員を一定の質に保つために社長が教育しなければならないと考えると、その時間は非常にもったいないとも思われます。
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人材が流出していくコストはどれくらいかかるのでしょうか。まずは新規に人材を集めるための広告宣伝費などがかかります。さらに会社の基本的な仕組みを教えるための時間もかかります。それにもまして大きいのはその人材が持ち合わせているナレッジ(知識)という資産の流出です。社員がさまざまな経験をして学んだ知識をプールして、活用するのは会社の基本的なスタンスです。しかしそれをしようとしないのは、又ナレッジマネジメントが叫ばれている中、ナレッジが流出することに会社がなんのアクションもとっていないということは、会社として問題があります。このあたりに成果主義の評価とナレッジマネジメントせめぎあいができてきます。
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これについては諸説あります。会社によってすべき対応が異なります。これについては私にお問い合わせください。ただこの時点で言えることは、成果主義で3ヶ月で評価するというのは難しいということです。あるいは6ヶ月か、あるいは1年か。また会社としても社員を教育する仕組みを作らなければいけませんし、又、人を評価するときにブレを考慮に入れないと会社の運営に困るのは明らかです。ただ明らかに言えることは、完全成果主義を本で読みかじってもそれを運営するには、多くの困難が発生するのです。 |
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